知的障害と自閉症スペクトラム
「はじめに」でも少し書きましたが、障害者自立支援法が始まった年から数年間、障害者福祉の仕事にかかわっていました。7・8年前の話になるのか。
で、自立支援法以降、障害者福祉サービスの制度ってのは高齢者福祉でいう介護保険みたいなもので
使おうと思うと、障害の「程度区分」の認定を受けなきゃいけないわけです。
自分はそれの、認定の面接をする側の仕事をしていました。
※一応、注釈と言いますか…、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ココカラ
1)療育手帳や身体障害者手帳は、それぞれ「知的障害や身体障害の重さの公的証明書」のようなものですが
これらによって付けられた障害の等級が一定以上に重度だと、役所の提供している制度がいくつか受けられるようになります。
たとえば「特別児童扶養手当」とか、自治体によるけど医療費の還付とかね。
障害の手帳にくっついてくる公的サービスといえます。
2)福祉事業所が提供している福祉サービス(就労支援とかショートステイとか)を使うときには、
前述の「障害程度区分」の認定を「障害の手帳の認定とは別口で」受けると、介護保険のように一部金額の負担で使えるようになります。
(「認定」の内容が障害の手帳とは違うので、別口の認定と制度になるわけです)
「福祉サービスを受けるための、1)とは別の制度」なのですが
このサービスが必要な人はまず「障害を持っている」前提条件があるので、つまり1)の障害の手帳を持っている必要があります。
3)障害年金は、加入している社会保険の運営主体が受給の可否を判断します。
「福祉の制度を受けるための、1)とは別の(以下略
(自分が知っているのは主に知的障害、あと身体障害の場合です。精神障害だと↑に書いたのと少し違う部分があるかもしれん)
(3/18追記:精神障害の手帳について記事書きました)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ココマデ
で、まあ
自分がかかわっていたのは、2)の障害程度区分認定のとこです。
知的障害のひとのところに伺って、ケアマネさんが介護保険の区分認定の面接をするようなのと似たようなことをしていました。
その時に、すごく思った、というかよくわかった。
自閉症スペクトラムと知的障害は、全く別次元というか別軸の特性だ。
自閉症もってる知的障害の人ともってない知的障害の人とがいるけど、受ける印象と行動の理はぜんぜん違ってる。
そして、「知的障害の重さ」よりも、「自閉症スペクトラムが入っているかどうか」のほうが、質問の内容・聞き方・その他もろもろ、大きく変わってくる。
障害程度区分認定の面接に行ったときは、「いまからこういう目的でいろんな質問をしますよー」って説明するんですけども
しゃべれないくらいの重い知的障害の人でも、いわゆる重症心身障害の人でもさ、顔をのぞき込んでゆっくり言えば、あっこの人は今なにか言われたって事をつかまえてるよな、少なくともなんとなくこっちのほう見てくれてるな、って印象があるんだよね。視点がこっちの頭蓋骨の真ん中辺りでとまるから。
けどね、自閉症スペクトラムが入ってる人だと、何て声かけようとずーっと、こっちの背後霊のあたりに焦点を合わせた目で立ってる、みたいな感じなの。知的障害が重かろうと軽かろうとそれは共通していた。
だから、なんというか
自閉症スペクトラムの入っていない、知能指数だけが問題の知的障害の人だったら、
(語弊があるかもしれませんが)話は通じると思う。
こちらが言っていることをすべて理解してもらえるとは言いませんが、少なくともこちらには「あなたに伝えたいことがある」んだと、それはわかってもらえるように思う。
けど、自閉症スペクトラムの入っている人の場合、こちらに「言っていることを理解しているよ」と伝えてくる方法を、そもそも持ってないんじゃないかな。だからこちらは、「この人は話が全く通じない」と思ってしまうんじゃないかと思う。
長くなってきたので一旦切ります。