世界は眩すぎる

広汎性発達障害(いわゆるアスペルガー)疑いの一社会人が、自分の自閉症的な部分について書いてみます。できるだけ淡々と、「自分の認知の仕方」と「どうしてそう感じているのかについての推測」を書き出してみるのが趣旨です。

(読了)APDの理解と支援

読了したのでメモ、というかレジュメですが。
 
・所要時間:一晩
・端緒についたばかりのAPD(聴覚情報処理障害)という症状についての概論。APD単独で「障害」となるわけではない。その原因である発達障害等を聴覚情報の面から支援する方法を検討するための基礎知識
・横書き・専門用語が特に説明なしに出てくる(ただし知らなくてもまあ大丈夫)
・即お役立ちハウツーはナシ。聴覚情報の処理に問題を持つ目の前の子をどうにかする方、なんてものは載ってません。
 ということで、カテゴリわけするなら研究書だと思います。
 
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APDの理解と支援 2016.11 小渕・原島 外 学苑社
APD(Auditory Processing Disorder)聴覚情報処理障害:
通常の聴覚検査では異常が認められないが、日常生活上聞き取り困難があるもの
→(医学的原因が特定できるような)単一の障害としてはとらえられない。支援法を検討する材料
 
1 APDとは
脳損傷によるもの(中枢性聴覚障害)(狭義)
脳損傷がみとめられないもの(広義)
 →注意、覚醒水準、推測能力、ワーキングメモリ等の認知システムの機能不全によって聴覚情報処理がうまくいっていないのでは?
・類似症状ANSD(聴覚神経に機能障害がある)と混同に注意
 
2 APD疑いの症状
・聞き返し・聞き誤りが多い(聴覚識別)
・雑音など、聞き取り環境の悪い所で聞き取りづらい(雑音下での聴取)
・口頭で言われると忘れたり、理解しづらい(聴覚的記銘)
・早口や小声が聞き取りづらい(劣化音声の聴取)
・長い話を注意して聞き続けるのが難しい(聴覚的注意)
・視覚情報にくらべて捉えづらい、理解しづらい(視覚優位)  (小渕、2015)
 
+標準純音聴力検査は正常である(聴力低下なし)
+ANSDと違う
 
・APD疑い(7-12歳)のうち、発達障害が背景要因のものは65%に及ぶ。大人はさらに多い(小渕、2015)
・難聴の見逃し、心因性難聴、バイリンガル家庭のダブルリミテッド、検査の正確性に注意
 
3 APDの評価
・問診(知的・発達障害の判定時と似た内容)
・質問紙、聴覚情報処理機能検査 両耳分離聴検査、低冗長性検査など
 
4 関連する障害
1)発達障害ASD、AD/HD、発達性協調運動障害、LDなど)
ASD:聞いてないように見える・大きな音が平気(感覚鈍麻)・特定の音が苦手(聴覚過敏)・音声言語のプロソディ処理に問題
ADHD:聞こえ自体に困難はそう多くないが、注意がそれやすい・注意を持続しづらい・注意を向けるべき音声が抽出できないために聞き取れなかったり聞いていないように見えたりする
・LD:音韻認知と意味理解、記憶
・SCD(Social Communication Disorder)(こだわりや感覚異常等がなく、ASDの診断基準を満たさないが、コミュニケーション障害をもつ):遠回しな表現や比喩、話者の動作の読み取りが難しい?
 
 
5 支援
・環境調整:雑音の抑制、着席位置の調整(教師の声が容易に聞こえ、他の人の様子もうかがえる位置)、音声情報を視覚情報化する、など
・聴覚を補う:マイク使う、雑音の低減、など
・直接的支援:聴覚トレーニング
心理的支援