可愛くない子供(5)
(承前)
同タイトルの記事で、自閉症スペクトラムのあるお子さんを「理解できない」と仰っていた親御さんの話を書きました。
今回はその中で出てきた、「『おとうさん、おかあさん』と呼びもしない」ということについて、推測を述べてみます。
(お子さんのいる方には不愉快かもしれない表現を含みます注意)
自分の経験に基づいて考えるなら、という前置きをつけさせてもらいますが…。
一言でいえば、「『おとうさん、おかあさん』と呼ばれないことが悲しい」という感覚が理解できないです。
「子供に呼ばれなかろうが親だろうが、けしからん」という意味ではなくて。「?なんで悲しいという感情につながるの?」と思ってしまう。
自分が子供のころのことを思い出すと、親をあまり呼ばなかった気がします。
見える範囲にいるなら、呼ぶよりも近づいて行って、手をつかんで、欲しいもののところまで連れて行った。
親が怒って「置いてくよ!」と言って歩き始めると、「おかあさん」と呼びかけることや「待って」と叫ぶことが、どうもうまくできず
(親から見ればいきなり)泣きだして固まっていた。
おそらく。
あなたがわたしの「おとうさん」であることは「明らかな事実」だからです。
あなたがわたしの「おかあさん」であることは、口に出して報告するまでもないことだからです。
そして「口に出して報告」することは、結構がんばって声に意味を乗せ、大いに発信しないといけないことだからです。
つまり、「おかあさん」と呼ぶことは
「あなたはわたしのお母さんなのですね」と確かめる意味以外に、
「わたしはお母さんが好きです、と表現している」意味を含む
ということがわかっていなかったように思います。