知的障害と自閉症スペクトラム(2)
(障害福祉の仕事にかかわっていたころの話です)
知的障害と自閉症をあわせて持ってるひとの場合、療育手帳の判定≒IQの判定が「重度」という場合がすごく(体感的に、ですが)多いなあと思ったのですよね。
中度~軽度の、知的障害単独だったら最頻値のはずの知的障害の程度、というのが、自閉症が入っている人だとほとんど見なかった。
ひととおり身の回りのことができていろんな言葉を知っていて話ができて、だけど一方的に電車の種類や朝起きてからの出来事を喋りつづけるような、「いわゆる、いかにも」な人(1)か。
あるいは、全くしゃべらない、かつ日常生活動作に支障があって、「周りの予測がつかない行動を突然起こす」あるいは「強烈な【こだわり】行動を繰り返している」ような人(2)か。
この2パターンがすごく多くて、真ん中くらいの「生活動作はそこそこできない+しゃべる内容が単語程度+α」みたいな人がわりと少ないように思ったのです。
(1)タイプの人は、IQ的にはそんなに低くない。IQだけでいえばボーダーくらい?以上の人。
知能検査というものが、歴史的にも内容的にも、「今、自分が所属している社会をどの程度認識しているか」を調べる面があるものだ、という前提に立てば、たとえば郵便局が何をするところかとか、ごはん食べるときはお箸やスプーンを使うものだとか、「学習」できているわけですし。
(2)タイプの人は、推測なのですが
ある程度以上(データもないし推定値も出せないですが;)の知的障害によって、
・質問されている言葉の意味がとれない、一般化できない
・状況に応じた行動を学習しづらい …(A)
ということ、それ以上に、おそらく自閉傾向によって
・そもそも「自分が今質問されている」ということを認知できない
・↑質問されている内容を理解したとしても、答え方がわからない(発話によって答える必要があることに【思い至らない】) …(B)
で、要因(A)<要因(B)によって「社会的行動が学習できていると判定が(そもそも)できない」=「IQが低く判定される」
という面が大きいのじゃないかと思ったのです。
※WAIS-Rを受けたときの内容をもとに推測しています。子供さん向けの知能検査の内容をいまいち知らないのですが…、純粋に行動だけを観察して判定を下すものなのであれば、この推測はあてはまらないと思います
(2)パターンの人の、(B)については
自閉的症状のうち、感覚認知の問題というよりは心の理論の問題かもしれません。
これは別記事にしようと思います。
一旦、ここで切ります。